旬食材
やわらかで味わい深い、「食べる」昆布
春採り昆布

風にそよぐ若い昆布は、春の浜辺の風物詩
函館市東部の沿岸一帯では真昆布漁が盛んで、天然もののほか養殖も盛んに行われています。養殖昆布は、秋に種苗を入れてから翌年夏に始まる採取まで、漁師の手で大事に手入れされます。昆布を大きく育てるためには、晩冬から春にかけて、ロープに付いた若い昆布の間引き作業が必要。この間引き昆布が食卓に上ることは、30年程前までめったになかったそうですが、1987(昭和62)年、旧椴法華町(現在は函館市)で商品化されました。間引き昆布が薄くやわらかである特徴に注目し、水揚げして乾燥させ、煮物用昆布として利用したところ人気となったそう。以来、どの浜でも春先の早朝には薄い細めの昆布を干す風景が見られ、風にそよぐ昆布は春の浜辺の風物詩といえる風景に。
出汁昆布とは異なる様々な用途で手軽に利用できる
間引き昆布は、日本一といわれる品質を誇る函館真昆布の副産物。成長した昆布とは異なり、出汁用には不向きですが、水に浸すとすぐにやわらかくなり、おでんや煮しめ、昆布巻などをつくるのに最適です。やわらかくて甘みが強く感じられるのも特徴。また、近年の健康志向の高まりにより、間引き昆布への期待から研究開発が進み、収穫してボイルした後に冷凍や塩蔵し、戻してサラダとして食べる商品も販売されています。いつしか「間引き昆布」から「春採り昆布」という名でも呼ばれるようになり、今では一般家庭でも様々な料理で食べられています。
漁業者から
函館市富浦町 漁師
小市 公三さん
見た目以上に手間のかかる作業。そのぶん品質に自信

昔は使われることがなかった間引きした昆布が、いまでは数多くの引き合いがいただけるようになり、非常にうれしいことです。椴法華地区では、毎年4月10日までに採取したやわらかな一等級のものをさらに厳選し、「おとひめこんぶ」として出荷しています。春の昆布干しは、昆布どうしがくっつかないように気を配らなければならないので、非常に手間のかかる作業。その分、品質には自信があります。煮物やおでんにすると特に甘みが感じられて、おいしく食べてもらえると思います。





春採り昆布について
主な産地:函館近海の津軽海峡および噴火湾漁期:3月~4月
代表的な生産者:えさん漁業協同組合椴法華支所
住所:北海道函館市新浜町53
電話番号:0138-86-2211
ファックス番号:0138-86-2214
おとひめこんぶの購入方法:函館および近郊の海産物店で取り扱いのほか、えさん漁業協同組合椴法華支所で直売(電話・ファックス等による受付)