訪ねてみたい市場・商店
木樽でじっくり天然発酵させた昔ながらの塩辛
小田島水産食品

木樽ならではのまろやかで深みのある味
小田島水産食品は、1914(大正3)年に食料品店として創業し、戦後間もない1947(昭和22)年から塩辛作りを続けている水産会社です。函館・道南には数多くの塩辛メーカーがありますが、同社は全国的にも数少なくなった、昔ながらの「木樽仕込みの塩辛」を作り続けていることで知られています。
プラスチック製品が普及していなかった昔は、どの塩辛メーカーも木の樽を使っていました。その後、軽くて扱いやすく、強度にも優れたFRP(繊維強化プラスチック)製の樽が開発されたことから、多くのメーカーが木樽を廃止してFRP製に切り替えたといいます。
実は、小田島水産食品も1990年代に入ってから、手入れに手間のかかる木樽を使うのをやめ、FRP製の樽に切り替えようとしたことがあります。ところが、いつもと同じようにFRP製の樽にイカを漬け込んでみても、塩辛は作れませんでした。「1週間経ってもイカの塩漬けにしかならず、さらに10日待ってみてもまったく塩辛の味になりませんでした」と小田島隆社長。通常の3倍もの調味料を入れて、どうにかそれらしい味に近付けるのが精一杯。
その後北海道立工業技術センターで調べたところ、木樽の表面の微細な凹凸に、塩辛を発酵・熟成させる酵母や乳酸菌などがすみついていることが判明しました。こうしたことを踏まえて同社はFRP製樽に切り替えるのをやめ、長年使い続けてきた木樽(杉樽)を大切に使い続けることに。木樽に仕込んだ塩辛を1週間毎日、約180cmの樫の棒で撹拌(かくはん)して自然発酵・熟成を促し、まろやかで深みのある味を作り出しています。着色料は使っていませんが、木樽で自然発酵させることで美しい桜色の塩辛に仕上がります。
新たな商品展開で伝統の塩辛を発信
調味料で味付けし、仕込んだ翌日に出荷する「早造り」の塩辛が多いなか、手間と日数がかかる昔ながらの塩辛づくりを続ける同社ですが、近年は新製品の開発にも積極的に取り組んでいます。
中でも、自然発酵ならではの深みのある味わいを生かした製品として人気を集めているのが、木樽で熟成させた塩辛に、唐辛子を使った新潟の伝統調味料「かんずり」で辛味を加えた「塩辛deアヒージョ」。オリーブオイルとニンニク入りで、お好みの具材を加えて火にかけるだけで本格的なアヒージョが手軽に味わえます。
ふっくらとした青森県産の麹を使った塩辛や、「かんずり」を使って辛味と旨みを引き出した塩辛、塩気の強い昔ながらの塩辛や塩分控えめの塩辛など、塩辛のラインナップも充実させています。







休業・営業時間変更の場合があります
- 所在地
- 函館市弁天町20-7
Googleマップで見る - 電話番号
- 0138-22-4312
- 営業時間
- 8:00~18:00
- 休業日
- 無休
- アクセス
- 函館市電函館どつく前から徒歩で約4分
- 駐車場
- なし