訪ねてみたい市場・商店
野菜の食べ方を発信し、地域の食を豊かに
げんきファーム

家庭菜園から専業農業へ
道南四季の杜公園からさらに坂を上った函館市亀田中野町に約1万平方メートルの畑を持つ「げんきファーム」。ナス、枝豆、とうもろこし、アスパラガス、キュウリ、イチゴなど多彩な作物を栽培しています。
同農園を営む山田圭寿さんの前職は公務員。職務の中で障がいを持つ子どもたちとふれあう機会が多かったことから、「障がいを持つ子どもたちの受け入れや障がい者雇用などができる、受け皿になれる仕事を作りたい」と農業への転身を決意し、2013年に新規就農しました。
もともと農業に興味があり、公務員時代から畑を借りて規模の大きな家庭菜園をしていた山田さんにとっては、自然な選択でした。
地域の食の幅を広げるために
目指したのは、たくさんの種類の野菜を少量ずつ栽培する農業。函館の農家の多くは、ひとつの野菜を広い面積で育てるため、栽培する野菜の種類を絞っています。そのため、少し変わった野菜や珍しい野菜を育てている農家はあまり多くありません。
そこで山田さんは、函館・近郊の農家があまり作っていない野菜に力を入れることに。特に、自身の好物でもあるナスに特化し、米ナス、水ナス、白長ナス、白丸ナス、ひもナスなど11種類ものナスを栽培し、「北海道でナス農家を目指す」との目標を掲げています。
というのも、北海道はナスの生産量が全国最下位。大規模にナスを作っている農家はほとんどありません。そのため、道内で店頭に並んでいるナスのほとんどは道外から運ばれており、収穫してから少なくとも2~3日以上経っています。
自分で育てた朝もぎのナスを食べて、「今まで食べていたナスとは全く味が違い、本当はナスってこんなにおいしいのかと感じた」という山田さん。「地域の皆さんにも、地元で採れた本当においしいナスを食べてもらいたい」と日々奮闘しています。
このほか、北海道ではほとんど栽培されていない「黒花豆」、山形が主産地の枝豆「秘伝豆」など、味が良いのに手に入りにくい作物を多く手掛けています。
野菜のおいしい食べ方を発信
とはいえ、珍しい野菜は「味や食べ方がわからない」と消費者に敬遠されがちで、いくら味が良くても買う人が少ないのも事実。そこで山田さんは、農業を営む傍ら、畑で採れた野菜をメインに使う小さな居酒屋を開き、さまざまな野菜の食べ方を自ら提案することに努めました。
2021年からはコロナ禍を受け、1日あたり10種類前後の総菜をあらかじめ作って軽ワゴンに積み込み、曜日ごとに決まった場所で売る移動販売スタイルに切り替えました。これが功を奏し、学生から90代まで幅広い世代がリピーターとして訪ねてくれるようになりました。
「当初、普通のナスは売れても、水ナスは売れなかった。おいしい食べ方を説明したり、水ナスを使った総菜を販売したりしているうちに少しずつファンが増え、今では喜んで買ってくれている」と山田さん。「地域の食は地域で守ることが大切。函館にない野菜を作り、作り手が付加価値を付けて発信していくことで、地域の食を少しでも豊かにしていきたい」と決意を新たにしています。






休業・営業時間変更の場合があります
- 所在地
- 函館市陣川町82-154
Googleマップで見る - 電話番号
- 非公表
- 営業時間
- 直売所は水曜日・土曜日の12:00~18:00、移動販売は月曜日~金曜日の16:00~19:00で市内各所
- 休業日
- 直売所は月曜日・火曜日・木曜日・金曜日・日曜日、移動販売は土曜日・日曜日 ※変動する場合あり
- アクセス
- 函館新外環状道路赤川ICから車で約5分
- 駐車場
- 有 (1台)