訪ねてみたい市場・商店
自社製造のかつお節と厳選した出汁素材が揃う
山丁 長谷川商店

道南の水産加工品を全国各地に紹介
山丁長谷川商店は、1952(昭和27)年創業の海産物卸売問屋。全国各地で開催される北海道物産展などに積極的に出店し、道南をはじめとする北海道のさまざまな海産物を販売しています。
創業者は北海道岩内町のニシンの仲買人の家に生まれましたが、不漁が続くニシン漁に見切りを付けて函館に移り、海産物卸の「長谷川孝四郎商店」を開業。当時は、かつお節、煮干し、昆布、干しシイタケなど「出汁」の原料となる食材を中心に扱っていました。その後1965(昭和40)年に法人化し、山丁長谷川商店となります。
1980年代には百貨店から催事への出店を依頼されるようになり、取扱品目を大幅に拡大。もともと扱っていた出汁の原料に加え、魚の干物、魚卵、生珍味など、幅広い海産物の販売を始めます。子会社の「山丁商店」で加工・製造した漬け魚や佃煮など自社ブランドの製品はもちろんのこと、優れた産品を製造している函館・道南の企業から特に良い品を厳選して仕入れ、それを全国各地で販売する「道南食材のセレクトショップ」としての役割を果たしています。出店地域によって販売する品目を変えるなど、消費者の好みに合わせたきめ細かな対応が支持され、「北海道物産展に欠かせない店」としてバイヤーや一般消費者から支持を集めています。
原点に立ち返り、出汁のおいしさを地元で発信
道外では北海道物産展の名物店として知られていますが、地元では業務用卸を中心として営業してきた同社。新型コロナウイルス感染症の影響で催事出店がストップしたのを機に、地元でもエンドユーザーとの接点を増やし、消費者に直接良い品を紹介しようと、2020年に本社併設の直売所をオープンしました。物産展で人気の魚卵(いくら・たらこなど)、塩干物(塩鮭・ホッケの開きなど)をはじめ、佃煮(甘露煮・昆布巻など)、生珍味(塩辛・松前漬など)、乾燥珍味などを幅広く扱っています。
とりわけ力を入れているのは、かつお節や昆布など「出汁」の素材。同社は創業当時から函館で唯一のかつお節工場を所有しており、今も自社のかつお節職人が鹿児島県枕崎市や静岡県焼津市などの産地から良い魚だけを目利きして仕入れ、自社工場でかつお節に加工しています。
近年、日本独自の「出汁文化」が見直されつつある反面、手軽な顆粒だしや液体だしの普及により、素材から出汁を取る家庭は減少しています。「顆粒タイプや液体タイプの出汁もおいしいが、香りは素材から取った出汁が格段に良い。ぜひ家庭でかつお節や昆布から出汁を取って、日本伝統の味を忘れないでほしい」と副社長の長谷川聡さん。直売所に並ぶかつお節は、地元の飲食店やホテル、仕出し店などに納品している自社製品と基本的に同じ。長谷川さんは「当社の原点は出汁屋なので、お客さまから『山丁のかつお節はおいしい』と言ってもらえることが喜び。函館でかつお節を削っている唯一のメーカーとして、その灯を消さずに守り抜いていきたい」と決意を新たにしています。







休業・営業時間変更の場合があります
- 所在地
- 函館市広野町5-8
Googleマップで見る - 電話番号
- 0138-23-2474
- 営業時間
- 9:00~17:30(土曜は12:00まで)
- 休業日
- 日曜日、祝日
- アクセス
- JR函館駅から車で約8分
- 駐車場
- 5台